norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

へちま

 ある学校で、先生方が休息する控室で、国文学専門のF先生とおしゃべりをしていた。

 

F「のりも君、『へちまの水取り』って知ってますか?」

私「え?へちまって、あの茶色の網目になった、身体なんかを洗うときに使うやつですか?」

 

F「あれは、実を干して乾かしたやつですよ。その前の実が成ってるときの夏の終わりくらいにツルを切って、ガラス瓶に突っ込んで樹液というか、へちまから出る水分をためるんですよ。知らない?」

 

私「ええ・・・なんでそんなことをするんですか?」

 

F「なんでって・・・そりゃ使うからですよ。へちまの水は昔から、消毒薬だとか、化粧水になるとか言うんです」

私「へぇぇぇ・・・」

 

F「ほら、あんたの好きな子規ね。あの人の時世句だっていわれる

    『をととひのへちまの水も取らざりき』

                  って詠んだのあったでしょ?」

私「え?子規の時世句ですか?」

 

F「そうですよ。今日が子規忌なんだから・・・まったくぅぅ・・・知らないんですか・・・子規とへちまとの関係を知らないなんて。よし。のりも君、あとは宿題ね。つぎのわたしと会うときまでに調べてくるように!」

 

私「はぁぃ・・・・・」

 

        よく見たる右廻りなる糸瓜蔓(高浜虚子