ハチヤ君と地下食堂ではなしている。
ハ「やっと、おちついてきましたねぇ・・・食べる物もおいしいし」
私「そうだよなぁ。実りの秋だもんなぁ」
ハ「あ、のりもさん、梨のことを・・・」
私「アリの実だろ」
ハ「・・ううぅぅンンン・・・じゃぁ、お芋を十三里っていうのが・・・」
私「栗との比較で、江戸時代に焼き芋をそう言って売ってたんだろ。全部、大学時代、悪友たちと話してたよ」
ハ「もぅぅ・・・・。よし、最後。『なすび』の名前の由来、知ってます?」
私「え?それは知らないなぁ・・・秋ナスは○○に食わすなって、ちょっといじわるなことわざは聞いたことがあるけど・・・」
ハ「はは。なすびは、中国伝来で、7~8世紀に日本に伝わったんですよね。正倉院古文書にも『天平正宝2年(750年)茄子進上』って記録されてるんです」
私「おぉぉ、まさにあんたの専門分野だなぁ」
ハ「なすびが専門分野じゃないですからね!それで、なすびは貴族階級の食材だったんですね。なすびのなかの味が少し酸っぱいことから『中酸実』(なかすみ)と言ったとか、夏に実が成るから『夏実』(なつみ)とか、これがなまって『奈須比』(なすび)と呼ばれたってされてるんですよ」
私「おお、完了だね」
ハ「まだですよ。なすびは江戸時代まで関東では造られてなかったんです。なすび好きの家康が督励して、やっと関東東北でも造られるようになったんですって」
私「なんで?」
ハ「なすびって、もともと熱帯植物なんです。関東では育ちにくかったそうですよ」
私「ああ、それでよく広がったよなぁ・・・」
ハ「ここは言葉の力ですよ。奨励するとき、ナスは『成す』に通じるから、徳川将軍が『縁起のいいもんだから造れ』って言ったんですって」
私「ほんとかよぉ・・・・・」
日々の是好日や秋茄子(高野素十)