♬ 蚊帳の中から花を見る 咲いてはかない酔芙蓉・・・
若い日の美しい・・・忍び合う恋 風の盆・・・・ ♪
(「風の盆恋歌」歌:石川さゆり 作詞:なかにし礼 作曲:三木たかし)
昭和が終わったすぐの頃、国文学者で大学の先生をしておられるF先生と、飲み屋に居た。お酒が大好きな愛妻家である。
F「のりもくん・・・何飲んでるの・・・もう・・・日本人なんだから、お酒を飲みなさい。そんなお腹を冷やすようなビールばっかりのんでるんじゃなくて、ほらほら」
私「ははは、先生、もうちょっと待ってくださいよ。まだ、暑いからビールで勘弁」
F「もぉぉぉ・・・ところで、今、掛かってる歌、たしか・・・石川さゆりでしょ?曲名って知ってる?」
私「えっと・・・風の盆なんとかでしょ、たぶん」
F「そうですか、ちょうど時期だよねぇ・・・」
私「え?どういうことですか」
F「うん?知らないの。『おわら風の盆』って越中富山で9月1日から3日くらいに開かれる有名な盆踊りの行事ですよ。知らない?」
私「ええ・・・わたしは、あまり聞いたことがないですが・・・」
F「そうなのかねぇ・・・盆踊りっていうのは、夏から秋にかけての日本の風物詩だから、われわれが、子どもの頃は、祭りとして楽しみでしかたなかったんだけどねぇ・・・」
私「ははは・・・どうも・・・」
F「まぁ、ビールだもんね、仕方ないか。日本情緒を思い出すためにも、ほら、熱いの飲みなさい、お酌したげるから。ほら、ほら・・・」
居酒屋の窓に梨さく夕月夜(正岡子規)