昭和53年、3時ごろに中学来の友人Yの家へ。
私「お~い、何してる?」
Y「うぅぅぅンンン?おう、のりも~・・・・」
私「うん?なんだよ、机の前で昼寝してたのかよ・・・ぼぉ~としてるぞ」
Y「うん、『ねむの気』(ねむの木?)」
私「なにいってんだよ、この暑いのによく眠れるなぁ」
Y「眠いのは、暑かろうが寒かろうが関係ないんだよ。まして、熱帯夜で眠れないときは、昼寝は最高なんだから」
私「それにしたって、椅子にすわって寝るこたぁないだろ」
Y「いいだろ。それに、さっき言った『ねむの気』ってちょっとしゃれてんだろ。ちょうど、花が咲く時期だしさ」
私「え?そうなのか?」
Y「なんだよ、知らないのか。うちの庭に咲いてんだろ、あのピンク色の優しい感じの花」
私「うん・・?・・・」
Y「もう・・・それにな、ねむの花って、昔から和歌にもなってる優雅な花なんだぜ。
万葉集でも
『昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さえに見よ』(紀女郎 きのいらつめ)ってさ」
私「お前・・・それ・・・恋歌だろぅ・・・昼寝がしたいってことと、関係ないじゃないか」
Y「いいんだよ、おれは、昼寝に恋してんだから!!」
かけめぐる夢吾になし外の残暑(高浜年尾)