♪ 「願いましてわ~ せんにひゃくろくじゅうごえんなり~
たすことの さんぜんよんひゃくじゅうごえんなり~・・・・」
昭和55年ごろのこと。
専門学校の教務室でお茶を飲んでいた。
授業の終了ベルのあと、珠算のO先生が戻って来られて、同僚のE先生たちと話しておられる。
E「O先生、がんばっておられましたねぇ」
O「もうね、若い受講生がまじめにやらないんで、困ってしまいます。この頃は、電卓があるから、簿記計算でも、もうそろばんなんかいらないと言って、練習しないんですから・・・」
E「まあ、そろばんってただの計算機ですもんねぇ」
O「ちがいますよ。そろばんも、日本の心と結びついた文化なんだから」
E「え、文化?」
O「もう・・・E先生まで・・・。あのね、そろばんって、室町時代に中国から伝わって、江戸時代に庶民にまで広がる計算機という面は確かにあるんですよ。だけど、江戸文化って町人文化でしょ。その文化のなかで、そろばんは、大きな役割をはたすんですよ。だから、庶民文化の表現作としての狂歌なんかでも、そろばんがたくさん出てくるんだから」
E「へぇぇぇ~~~・・・たとえば?」
O「たとえばね。
『そろばんの たまにあふよの わりなきを にくし 三三か くだかけの声』
(狂歌才蔵集巻第十二)
とかね」
E「うぅぅンンン なるほど・・・玉に『さざん ガ く』 かぁ・・・」
横でわたしも・・・・なるほどぉ・・・と感心していました。
ただ、おしい・・・サザンカ(山茶花)は冬で、今は夏だもんなぁ・・・・
粋に立ち上りし女菖蒲髪(高浜年尾)