norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

松の内

 われわれが大学の頃、松の内では、どこの家でも松飾やしめ飾りが門前にかざられていたものである。

 

さらに、ごていねいに、乗用車用のしめ飾りがあり、車の空気を取り入れる前の部分にちいさなしめ飾りをつけて走っていた。

 

今からすれば、少々、滑稽におもえるのであるが、みんながお祝いの気持ちと、大事な乗用車にも神が宿るようにとの願いが込められているのであり、しあわせを招くようにとの思いでいたのであろう。

 

 大学で悪友たちとの話し。

A「なぁ、松の内っていうだろぅ。あれはどこからきてるんだろうか?」

B「うん、聞いたところによると、正月っていうのは歳神さまを迎えて、新らしい年を祝うんだろ。だから、目印に松を使って、歳神様ここにきてくださいって言ってるんだってさ。その目印の松を使ってかざりつけてる期間なんで、松の内って言うんだって聞いたぜ」

 

A「おぉぉ、だいたいわかったけどさぁ、なんで松?」

B「松っていうのは、常緑樹で冬でも青々としてるだろ?あの緑にかがやく生命力や、縁起の良さが、ひとびとの励みになるんだろうさ。枯れた木々じゃ、お祝いにふさわしくないだろうが?」

 

A「だけどさぁ、なんで松なの?杉だっていいじゃないか?」

B「うぅぅンンン・・・・日本人は松が好きなんだろうなぁ。古来から松を大事にしてて、平安時代なんかには、貴族が女性に歌を贈るとき、松の枝を文に結び付けたんだってさ。ほら、木々のめでたさの位置づけを『松竹梅』っていうじゃないか」

 

A「ああ、あれは木そのものの気品の順序かぁ。おれはてっきり、うなぎなんかの値段順の符号だと思ってた」

B「・・・・・・・」

 

      松の内らしき疲れの残りをり(後藤比奈夫)