norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

ハマユウ

 Yの家で話している。Yが紙になにやら文字を書いてわたしに渡す。

 

Y「なあ、のりも。これなんて読むか、分かる?」

私「うん? はまゆうだろ。女優さんで居るじゃないか」

 

Y「お、知ってたか。おれはまた、てっきり『はまもめん』って読むのかと思った」

私「まぁ、そう読みがちだよな。なんでそんなこと考えたんだ?」

 

Y「いやぁ、テレビの天気予報をみてたらさ、今日は『浜木綿の日』です。由来は、筝曲作者で有名な 宮城道雄氏 の亡くなった日で、最後の曲名をつけて偲ぶ日としたっていうんだ。それで、辞書でしらべてみてさ。面白いから、お前に訊いてやろうって思ってさ」

 

私「なんだよ、ためしてんのか?」

Y「はは、それじゃあさ、『浜木綿』って字はなんでそう書くのか、わかるか?」

 

私「それは、知らない」

 

Y「よし、それはな、この花は海岸沿いに咲く花だから浜の字が当てられるんだ。それでな、木綿っていうのは木にできるモメンじゃなくて、ハマユウの花の部分が細い繊維状になって垂れ下がってるのさ。この垂れ下がっているのが、神事のときに使う榊(さかき)なんかに、細い糸をかけて垂らすのと似てて、榊のこの糸部分のことを真木綿(まゆう)って言うんで、その字を当てるんだってさ」

 

私「おお、なるほどなぁ・・・。で?」

 

Y「『で』って、お前・・・ここま『で』だよ」

私「・・・・・・」

 

       ましぐらに浜木綿へ来る波と思ふ(武田知子)