6月の休日に、またまた旧友Yの家に遊びに行っている。
夕方に帰ろうと思っていたころ、屋根を叩くような雨が降ってきた。
私「あぁ、しまったぁ。傘をわすれたぁ・・・くそうぅ・・・
『七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞあやしき』
(兼明親王「後拾遺1154」)か・・・」
Y「お、なつかしい、中学生のときに習った、太田道灌か。だけど、お前、まちがってるよ。
最後は、『なきぞかなしき』 だろうが。
それに、状況でいえば、蓑を貸す側の、おれがお前に向かって歌わなきゃなんないのに・・・・・お前が言ってどうすんだよ」
私「いやぁ、この歌の本歌は『なきぞあやしき』だってされてるんだよ。それに、俺が歌ったのは、傘を持ってくるのを忘れたという感嘆をあらわすために言ってんだよ。おかしくはないだろう」
Y「しかたねぇなぁ。
『七重八重 花は咲いたりあじさいの かさひとつだけ貸してやるから』
でどうだ」
私「・・・・・・」
雨男らしき用意の梅雨の傘(三村純也)