norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

夏至

 Uが、ランダムハウス(Random House)という名の大きな英英辞書を抱えて、研究室へ戻って来た。

 

U「なあ、のりも。シェイクスピア作の『真夏の夜の夢』って知ってる?」

私「え、知らないよ。なんで?」

 

U「いやあ、ウチの師匠が講義中に、イギリス法制度の話しをしてたときにさ、シェイクスピアの話しを、し始めたんだよ」

私「うん、それで?」

 

U「それでな、うちの師匠のいうのには、ヨーロッパは6月の夏至になると、いっせいに花が咲いたようになって、Midsummer Dayってお祭りが開かれるんだっていうんだよな。その時期をテーマにしたシェイクスピア劇の名前がmidsummer night(真夏の夜の夢)っていうんだってさ」

 

私「へぇぇ~そうかぁ。だけど、それは文学芸術の話しだろ。国際私法の授業内容とどう関係すんの?」

 

U「うん、おれの先生が言うのには、シェイクスピアは16世紀の法学者じゃないかっていうんだよな。真夏の夜の夢では、王が娘に結婚を強制して、いやなら『死刑』だって宣告をするっていう場面から始まるんだ。そのあと、森のシーンがあって、その森に住む王と王女が『養子問題』でケンカをして、森の妖精や、死刑宣告された王女、その恋人たちを巻き込んで大騒動が起きるって話しなんだってよ。基本に中世の法思想があって、それで法制度論文の参考文献にするために、原文を少し読んでみようってことになったんだ」

 

私「うん、昔の法制度の思想的研究かぁ。優雅でいいじゃないか。それにお前、英語得意だろ」

 

U「よくない!!中世英語だぜ。ラテン語まじりで、わけ分からん!」

 

それでランダムハウスか・・・・ごくろうさん・・・・

 

       ロンドンに着きは着きたれ夜半の夏(久保田万太郎