norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

関東炊き

 2月の寒い朝、大学で友人たちが。

A「おい、寒いなぁ、こういう日の晩は、関東炊き(かんとだき)で一杯がいいなぁ」

B「そうだな。ところでさ、その関東炊きっていうことばは関西独特だろぅ?なんでかな?」

 

C「東京が発祥だからじゃないのか?俺たちがこどものころから、いわゆる『おでん』のことを関東炊きっていってるもの。このごろは、あんまり、関東炊きって言わなくなってきてるけどさ」

B「そもそも、『おでん』だってよくわからない言い方じゃないか?具材をだし汁で煮たのを、なんでおでんっていうんだろ?」

 

A「まかせな。それは調べたよ。おでんって、『田楽』のことで、むかしの田楽っていうのは、たとえば豆腐を串に差して、味噌をつけて、それを焼いて食べるものだったのさ。その食べ物が田植えの神さま『田楽法師』に似てるっていうんで、田楽ってなったんだってよ」

C「うん、で、『おでん』ってなんで変わるの?」

 

A「女性が田楽っていうときに、ていねいことばで『お』を付けて言っていたことから、『おでん』になったっていうぜ」

B「うん、そこまでは分かる。で、関東炊きは?」

 

A「おでんって、いろんな形にかわっていってさ、江戸時代になるとお江戸で鰹と醤油・砂糖を入れた甘い煮込んだおでんがあらわれたんだってさ。それとは別に上方では、昆布だしの具を煮た田楽があらわれて、なにかの拍子に関東煮または関東炊きと言われだして、東京の田楽とは直接は関係ないんだけど、よく似た形の田楽の食べ方が出ただけだってさ」

 

C「なぁんだぁ、関東とは直接関係はないのかぁ」

A「あるかもしれんし、ないかもしれん・・・」

 

B「それより、今日は、居酒屋のおでんをさかなに『〇〇寒梅』で一杯やろうぜ」

A「寒梅かぁ・・・それも『あるかもしれんし、ないかもしれん・・・』」

 

そのころ、日本酒のこの銘柄酒は、すぐ売り切れてしまうのでした。

 

        おでんやの湯気とは酔いを誘ふもの(小田尚輝)