昭和49年12月である。
A「おい、田中角栄が辞任したなぁ」
B「ああ、あれだけ、ロッキードで騒がれりゃ仕方ないだろう」
A「しかしまぁ、あれだけ総裁選に大勝して、日中国交回復もやって、列島改造だって騒いでも、収賄容疑なんかの金権政治だってことでつぶれちまうんだなぁ」
C「昭和47年7月から今年の12月までだから・・・2年と5カ月か」
A「ああ、佐藤さんと比べると短いよなぁ・・・」
われわれは、どうしても、前任の佐藤栄作氏と比べてしまうのである。あの長期政権の期間記録は令和になるまで、破られることはなかった。
B「うちのおやじなんか、田中角栄がはじめての大正生まれの総理大臣で、自分と同じだって自慢してたぜ」
A「そうだよな。あちこちでそれは聴くよ。コンピュータ付ブルドーザーだとかさ。実行力と頭のよさと、あれがあの世代の角栄さんでの自慢の種なんだろうな」
B「ところで、つぎの総理はだれだっけ?」
A「ええっと、三木武夫だよ。確か椎名裁定で、清廉潔白な彼が選ばれたんだろぅ?」
C「なんか、地味だなぁ」
全員「うん・・・・・・・・・・」
べつに、地味でもいいのですが・・・・・
春禽や端正の木を選り好み(松本三千夫)(『末黒野』(2015年6月))