♬卒業までの半年で 答えを出すというけれど ・・・
青春時代の真ん中は 道に迷っているばかり・・・♪
この曲がはやったころの4月、大学院学舎へコピーを取りにホールを横切ろうとしたとき、
「おぃ!!ひさしぶりやなぁ!」
と声を掛けてくる者がいた。
「え、だれ?」と思って見ると。ホールのテーブルを備えたソファーにブラウンのスーツを着て座ったやつがいる。
わたしは、うん?たしかに見たことはある・・・だれだっけか・・・という状態であった。
「おい。見忘れたのかよ?Nだよ」
「ああぁぁぁあぁ・・・・」
たしか、わたしの学部卒業ゼミの同期であるN村やH本といつも一緒に講義を受けていたNで、わたしも何度か、彼らを通じて二三度話したことがあった。
「どうした?何か大学に用事か?」と聞くと、
「いや、1年働いたんだけどさ、いやになったんだよなぁ。だから、大学院に戻って来た」
「え!仕事やめたのか?また、思い切ったもんだよなぁ」
「ああ、労働法の研究室に入ることにしたよ」
「そうか、まぁ、がんばれよ」
「ああ、ところで、のりもさん」
「ばか!!やめろ。きもちわるい。『さん』づけは、なし!俺も、お前を呼び捨てにするからな」
「よし、決まった!」
Nは、成績は優秀で頭はいいのだが、相当、癇が強く、好き嫌いがはげしい。
その意味では研究者に向いているのかと思われた。
ここから、大学院時代はNとの関係が相当長くつづくのであった。
まあ、同期がひとり増えてなんとなくうれしくはあったが、1年遅れとは、みんな何か悩みながら過ごす。歌とよく似た青春時代後期である・・・・
いつまでを青春といふ夏衣(高橋悦男)