2月のある日。友人同士の会話。
A「なあ、11月は神帰月って二つ名があったろぅ?」
B「二つ名って言うなよ。別名または異名だろう?」
A「ま、いいじゃないか。2月は『きさらぎ』のほかにはないのか?」
B「あるよ。木の目月、雪消月、小草生月(おぐさおいつき)、仲春、初花月、令月、麗月・・・・」
A「おい、まてまて、そんなにあるのかよ」
B「ああ。旧暦の2月はさ、今でいう3月の初中旬になるだろぅ。まさに自然が芽吹いて、春の盛りがそこまでやってくる、うきうきした時期になるのさ。だから、いろんな自然現象とむすびついて、さまざまな表現がされてるんだろうなぁ」
A「おい、気になったのはさ、令月と麗月なんだけど、どういう関係?」
B「お前はほんとに、『きれいとか美しい』っていう字に関わることって好きだよなぁ」
A「いいじゃないか、教えろよ」
B「令っていうのは、『なにをするにも良いとか、おめでたい』って言う意味があるんだよ。それで、万葉集でも『梅花歌三十二種ならびに序』の一節に『初春令月』っていう言葉があってさ。それで古くから、これくらいの時期に歌でうたわれていたことからも、令月っていうのが定着したんじゃないかって言われてるよ」
A「うん、うん。で、麗月の方は?」
B「お前の好きな麗の字はさ、『気高く美しい月』って意味なんだよ。だから、本来2月を表す意味はまったくないのさ。だけどこの字を使うとなんとなく綺麗だろ。ま、極端な言い方をすれば令の誤用で麗を使ったんじゃないかって言うのがもっぱらの説だね」
B「え、誤用か・・・・・なっとくいかねぇ・・・・・・・」
二ン月や天神様の梅の花(一茶)