大学のたまり場ホールで、みんなが集まっている。
A「さっむいなぁ~。コーヒー買ってこよう」と立ち上がる。
B「A、俺の分も、よろしく」
A「まったくぅ、自分で来いよ」
自販機でホットコーヒーを2つ買って、テーブルへ。そのとき、なぜか分からないままに、氷の話しになった。多分、冬からの連想なのであろう。
B「氷で思いつくものを上げてみようぜ」
A「またかよ」
B「おれからいくぞ。北極!」
C「じゃあ、南極」
D「かき氷」
A・C「さっむ~~」
B「おい、Dだめだよそれ。氷そのものじゃ面白くないし、だいいち、それじゃ夏じゃないか」
D「そんな条件、ついてなかったじゃないかぁ、先に言えよぉ」
A「そんなのわかるだろぅ」
D「じゃあ、井上陽水『氷の世界』」
みんなが「え、何それ?」
D「陽水のそういうアルバムがあるのさ。その中の一曲さ、聞いてみな。この曲、ほんとにシュールで冬って感じするから」
A「だめだよ。だれも知らないじゃないか」
D「だろぅ。だから、だれも知らないっていう『ひえびえ』とした空気になったことで、二重に、冷たい氷の世界になるじゃないか」
A・B・C「・・・・・・・・・」
昭和49年2月のことでした。
♬ 窓の外には りんご売り・・・・・・・氷の世界・・・・・♪
氷上に風の行方の定まらず(保坂伸秋)