norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

椿 (色の想像)

大学で悪友と。

私「なあ、黒沢明の『椿三十郎』って映画みたことある?」

A「ああ、なんで?」

 

私「いやぁ、ちょっと思いだしたんだ。椿って冬の花だろぅ?」

A「ああ、そうだろう」

 

私「あれって、真っ赤な花で、冬景色のなかで際立って色が目立つ花じゃないか?」

A「それで?」

 

私「それなのにだよ。あの映画って白黒だから、浪人役の三船敏郎が偽名を名乗るとき、椿の花をみて、適当に『椿三十郎』っていうだろう?」

A「うん、それがある意味、冗談とシャレも入ってるんだろうと思うよ。黒沢明監督の遊びごころじゃないのか?」

 

私「それは分かるんだよ。だけどさぁ、もし椿の映像効果を高めるなら、あの映画の最初の、椿の画像のところだけ色を付ける、パートカラーにすればもっとよかったんじゃないか?」

 

A「うん、芸術音痴のお前にすれば、正解。あの作品を作ったときにも、そういう議論があったんだってさ。だけど、白黒でも椿は赤というより朱色でその色ははっきりしているから、白黒フィルムで撮って、さらに黒い色を付ければ、人間がその画像を見ると、黒がくっきりしてるから、濃い赤色が想像できて、かえって印象的じゃないかということになったんだってよ」

 

私「そうか、もっと黒く塗ってるのかぁ・・・想像力を駆り立てる効果をも狙ってるんだなぁ・・・・・」

A「ああ、だから黒沢作品って、画像込みの芸術っていわれるんだろうさ」

なるほど・・・・・・

 

      紅椿散り敷く花と守らるる(石川桂郎