大学にて。悪友たちと。
A「さむいなあぁ。この時期の枕草子の話題はないのかよ?」
B「あるよ。だけど、あまり言いたくないなぁ」
C「なんで?」
B「入試問題にもなりやすいところではあるけど、複雑すぎて、あまり面白いとは思えないんだよなぁ」
A「言ってみろよ」
B「あとで、文句言うなよ。枕草子の二九九段のところにさ、
『雪のいと高う降りたるを 例ならず御格子まゐりて 炭櫃に火をおこし 物語などして集まり候ふに 「少納言よ 香炉峰の雪 いかならむ」と 仰せらるれば 御格子上げさせて 御簾を高く揚げたれば 笑わせたまふ』
っていうのがあるのさ」
C「うん?なんで笑うの?」
A「この中宮定子が清少納言に尋ねた『香炉峰の雪』っていうのがミソなのさ」
B「何か習った覚えがあるけど・・・忘れたなぁ・・・・」
A「この『香炉峰の雪』っていうのは、中国の有名な白居易が詠んだ歌のなかに、『香炉峰の雪を、御簾を上げてながめる』っていう有名な詩があるのさ。これ漢詩を勉強するときの必須な。それを真似て清少納言が御簾を上げて定子に、こうですよって答えたっていうんだよ。まあ言やぁ、教養のある答えをしたでしょ、ってことなんだ。それで、定子が笑ったわけさ」
B「なんだよそれ、わかんないと馬鹿扱いされるような気がするじゃないかぁ!」
A「だろう?だから、言いたくないんだよなぁ・・・」
結局、無粋ものたちが、ぶつぶつ言い合ったはなしでした。
ははは・・・・
牡丹雪ノート小脇に今日は若し(草間時彦)