norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

アジサイの色

 研究室でOと話している。

Oは刑法専攻であるから、刑事事件に詳しいし、警察業務にも詳しかった。

 

私「なぁ、アジサイの根もとにヒトを埋めるとアジサイの色が変わって殺人事件が発覚したなんて話しは本当なのか?」

O「推理小説の読みすぎだよ」

 

私「あれは嘘なのかぁ」

O「絶対にないとまでは言えないけどさ、土のなかにをヒトを埋めるっていうのは大変なことなんだぜ。まして、墓場でもない土を掘ることになるだろ?人間が重機を使わないで縦2メートル、横1メートル、深さ1.5メートルの穴を掘るのに、何時間かかると思う?これを他人に見つからずに掘って埋めるなんてことは、山奥の山奥でもないとできないんだってよ。それに、仮にできたとしても、埋め戻した時、どうしても土があまって、こんもりと山になるんだから、見つからないわけないだろ。それに、雨でも降れば、すぐに土が流れて埋めたことがばれるんだよ。アジサイの色が変わって犯罪がばれるなんて、ほぼありえないよ」

 

私「それじゃあ、どうしてあんな発想が出るんだろ?」

O「ほら、あじさいって、土壌が酸性かアルカリ性かによって色が変わるじゃないか」

 

私「そうだっけ?」

O「何言ってんだよ、知らないのか?アジサイは酸性の土では赤い花が、アルカリ性の土じゃあ青い花が咲くんだよ」

 

私「なるほどぉ、ということはだよ。動物なんかが埋まってると、どちらになるの?」

O「まぁ、動物っていうか、生き物が埋まってると、酸化していくから酸性になるんだろうなぁ・・・」

 

私「そうすると、『まっか』かぁ・・・・何か・・・哀しいなぁ・・・」

O「・・・・・」

 

   あじさいに意図あるがごと 晴曇雨(伊丹三樹彦)