norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

寒月

 12月半ば、サークル研究会の帰り道。

月の出たときに悪友たちと。

 

A「うわぁ、きれいな月が出てらぁ」

B「さて、冬枯れのけしきこそ、秋にをさをさ劣るまじけれ。・・・・・すさまじきものにして見るものもなき月の寒けく澄める・・・心ぼそきものなれ。だな」

 

C「なんだよそれ」

B「徒然草の第19段だよ。兼好法師が月をめでるのは、秋だけじゃないよ~ってさ」

 

C「お前、みんなで帰るときに月が出ることを予想して、あらかじめ調べてたろう」

B「あはぁ、わかった?枕草子も調べたんだけど、寒月のいい題材がないんだよ」

 

C「やっぱりな!」

A「しかし、その月の部分は兼好法師らしいよなぁ」

 

B「なんで?」

 

A「だって、吉田兼好って、ある意味『世捨て人』だろ。みんなが、秋の月はすばらしいっていってるのに、兼好法師だけが、しんしんと冷えた冬の月を鑑賞するのも、凜とした空気のなかにあって、いいものだって言ってんだぞ。ちょっと、変わってるぜ。いわば少数説じゃないか」

 

B「まぁ、ひとの感じ方で、感性だもんな」

うん、うん、 寒い~ 早くかえろうぜ(全員)

 

        寒の月昂然として満ちてゆく(相生垣瓜人)