昭和50年10月8日に、日本で初めて米国映画「風と共に去りぬ」がテレビ放映された。
いや、世界初のテレビでの登場である。
テレビで、見ていた私は、つまらない映画だなぁという、第一印象。
とにかく、ストーリーの進展がのろいのである。
それとともに、心理描写が多いことと、あまりに、アメリカ的で日本人の心情にはあわないだろうなぁというのが、わたしの感触である。
少しして、衝撃のワンシーンが目に飛び込んできた。
農場が大炎上して・・・・背景が朱に染まっている、そのなかで、主演女優ビビアン・リーがつぶやくように叫ぶ
「明日は明日の風が吹くわ」After all,tomorrow is another day と。
これには、驚いた。
画像の新鮮で強烈な赤黒の対比と、せりふの潔ぎよさ。
まさに、アメリカンスピリッツがこの画面とセリフに込められていると思われた。
こりゃすごいや、このシーンのために、そのほかの映像が撮られたのじゃないかと、私は錯覚したものである。
この映画、なんと1939年の戦前の作品である。これを聞いたとき、こんなきれいなカラー作品がなぁ、という二重の感慨があった。
コートの衿たてるは洋画観てのこと(石川文子)