昼休み、9月ついたちの学部教室近くの食堂は、ごったがえしていた。
あちこちで、
「おう、ひさしぶり」
「げんきかぁ」
「おい、真っ黒やなぁ」
といった、ごぶさた会話が飛び交っている。
やっとこさ確保した食卓に、7・8人の同期が定食のトレーを持って集まってきた。
この食堂は学舎の裏側にあり、教室からの距離が近いために、みんながいっせいに集まるのである。
遅れると、昼ごはんを取り損ねるおそれがある。
わたしも、同期生とのひさしぶりの再会である。
「ひさしぶりなのは、たのしいが、相変わらずの食事メニューだよなぁ」
「どうしたよ?」
「いやぁ、2年目の秋もこれかぁと思うと、うんざりするんだよなぁ」
「しょうがねえだろ、この値段でこの量だから我慢しろよ」
「ああ、それはわかるんだが、それに、この暑さ、どうにかならないかねぇ。それとこの臭い。たまらん!!」
この食堂にはクーラーは入っていない。
そのうえ、裏が馬術部の馬場になっていて、食堂の窓がいつも開けっ放しであるから、夏になると馬のフンのにおいが強烈にただようことがある。
うぅンンン・・・・・ それはわかる。
しかし、馬に文句言うわけにもいかんしなぁ・・・
はやく、食っちまおうぜ。
残暑のなかでの食事であった。
秋風や馬場の草むら犬走る(正岡子規)