norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

 海のなかである、

急に足がつった。水中にからだが引き込まれる。

 

Hとわたしの二人しかいない

私「あかん!!足つった」。足がけいれんをおこしていた。

H「がんばれ。のりも」

沈んでゆくのが分かった。

意識が遠のきそうになったとき、急にからだが浮いて海面に出た。

 

うしろから、必死でHが背中から押して泳いでくれている。

ひと息ついて、遅いがやがて手足が動くようになった。

しかし、岸までまだとおい。

 

 そこから、20分ほど泳いだであろうか、やがて足が届く深さに来た。

Hが

「のりもぉ、足がつくぞ。ここから歩いて岸までゆこう」と叫ぶ。

 

 わたしは、まさに這う這うの体で岸までたどり着いた。

二人して、あおむけに岸で寝ころんでいた。

 

 サークル合宿で、日本海のとある県に来ていた。

合宿勉強休日にみんなで、海にでて、ボートを借りて1キロほど先の岩礁に行ったのであるが、つまらない。

わたしとHはこんなところで日向ぼっこするよりは、泳いで岸へ帰ろうと思いついたのである。

 

 すぐ、到着するだろうと甘くみていた。

結局、海の怖さを思い知らされるはめとなったのである。

泳いでも泳いでも岸に着かない。

かれこれ1時間以上は泳いでいた。

地獄の釜が開いていたというのは、このことであろう。

 

 Hがいなければ、おそらくわたしは、このときに向こうに行っていたに違いない。

岸でひっくり返っているとき、息ができるありがたさと、友情をしみじみと味わった。

 

     黙々と供えものして盆仏(高澤良一)