norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

キャンプ

 「おい、ふたりとも起きろよ」

目をさますと、Kがコッヘルでお湯をわかしている。

「さむい・・・・」震えながら。テントの外へ出る。

8月なのに、氷ノ山(ひょうのせん)の山の中はさむいのである。

 

 Kが苦笑いしながら、

「お前たち、抱き合いながら寝てたろう。気持ち悪い」

Iが遅れて起きだしてきた。

I「うぅん、何のはなししてんの?」

K「もう・・・、寝ぼけやがって。ふたりとも、そこで顔をあらってこい!今、コーヒー淹れてやるから」と、水場を指さす。

 

 山陰での夏合宿が終わって、Kがわれわれに声をかけてきた。

「以前から、テント張りを、ためそうと思ってたんだ。氷ノ山キャンプ場で、帰りに1泊のテントキャンプをしないか」という。

われわれも、合宿後、取り立てて用もないので、その案に乗ることにした。

 

「テントはどうすんだよ?」というと、Kは、あれをみろよといって、ビニールカバンを指さす。

それほど大きくはないが中くらいの携帯かばんに簡易テントが入っているらしい。

用意のいいやつと感心した。

 

 合宿が解散となると、三人で山陰線に乗り、兵庫県側からキャンプ場をめざして山をのぼった。

ところが、である。

明るいうちに着くと思っていたキャンプ場所に、着いてみれば夜9時で、あたりは真っ暗。

わたしとIは疲れとあせりでおたおたしていると、Kは慣れた手つきで携帯のあかりを灯して、床となるシートを敷いて杭をうちはじめる。

 

「おいのりも、そっちの端持って、ひっぱっててくれ。Iはかばんから荷物をだしておいてくれよな」と、てきぱきと指示。

うすらぼんやりと見える光のなかで、テント設置完了となった。

 

 Kはこのあと、コッヘルで米を炊きながら、「今日は、ボンカレーでがまんな」といって、固形燃料でインスタントカレーを温めている。

まったく、冷静なやつ・・・・

 

 夜、テント内で雑魚寝。合宿帰りであるから着替えの衣服は多くあり、それを着込みタオルケットにくるまって眠ることにした。

夜中を過ぎると、寒い・・・・・本能であろう、暖を求めて抱き枕を探していた。

Iも同じであったのだろう、ふたりが抱き合う形になったらしい。朝のKの揶揄がそれを証明している。

 

 おい、Kよ、おまえ抱き枕に困らなかったのかよ。

ひとりっ子め、風邪ひくぞぉ!

 

      キャンプ更けゆく星空の釣天井(鷹羽狩行)