norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

遭難?

 真っ白な世界。

わたしは、スキー板3人分6本を担いで歩いている。

うしろから、泣き出しそうな顔をして、女の子が2人、転ばないように足元を見ながらついてくる・・・・

 

 20分ほども雪道を歩いたであろうか・・・やっとメインのリフト乗り場に着いた。

やれやれ、ここまで来れば・・・・・

そこで、スキー板を下ろし、女の子たちに、

 

「これで分かるよね・・・・」

「はい、有難うございました」

「気をつけて宿に帰ってね。さようなら」

 

 二人と別れて、わたしも、KとHが居るであろう民宿に向かう。

 

 スキー場で、初心者のHとわたしはスキースクールに入った。

初級コースである。

人なつっこいHは、関東からやって来た、年下で二人組の女子大学生とすぐ仲良くなった。

楽しそうに話している。

 

 午後になって、スキー講習がおわり、われわれK・H・私の三人がスキーをしているとHがこの二人の女の子を見つけ、午前中の続きのようにして仲良くスキーをし始めた。私は自分のスキー練習が忙しく、彼女たちとそれほど、話もしていなかった。

 

 午後3時になって、天候が急に荒れだして、

「ゲレンデは、本日はこれで終了です」というアナウンス。

 

 Kが「じゃあ、今日はこれでかえろうか」、というので、最後の滑降を始めて、

K・女の子2人・H・私の順番でつぎつぎと山から滑り降り始めた。

 

 私はHが女の子たちの面倒を見るものだと思って、最後にゆっくりと下ってゆくと、途中で下り道が二またに分かれているところを、ふぶきで真っ白になっていて、まちがって、出発点とはちがうスキー口におりる道を下ってしまった。

そのうしろから、女の子たちも間違って、ついてきたようである。

 

 この道を下りたとき、吹雪いているうえに、見たこともない景色が・・・・・

すぐそばで、女の子ふたりが泣きそうな顔をして、私を見ているのである・・・・

 

ああ・・・スキー板をかついで、歩くしかないかぁ・・・どっちの方向だろぅ・・・

という次第となった。

 

へとへとになって宿に帰って、わたしは、Hに

「おまえぇ、しっかり女の子たちの面倒を見ろよな!!危うく遭難するところだったぞ。ひどい目に遭ったじゃないかぁ」

 

H「わるいわるい、ちょっとスピードが出すぎてさ。女の子たちを見失しなっちまったんだ。だけど、お前、美女を助けるヒーローじゃないか!!すごい!かっこいいなぁ・・・・ははは・・・」

 

Kは、横で大笑いしていた。

もおぉぉぉ・・・・・・ばかやろう!!

 

      スキーヤー下りし谷より上り来ず(山口誓子