7月になると、母親が梅干しをビンから出して、ざるなどに移してベランダに並べて干し始める。
これを土用干しというそうである。
夏の土用というのはこの時期ならば立秋(だいたい8月第1週)前15日目ぐらいのことをいうらしい。
この時期にかげ干しをすると虫に食われないのだそうである。
そのため、土用干しというのは虫干しともいわれ、梅のほかにふとん、衣類、本、田んぼなども土用干しする。7月の風物詩でもあった。
この日、わたしは、アルバイトが休みであるため、昼すぎまで寝ていた。
梅を干していた母親が、
「いいかげんに、起きなさい!もう、ごはんないからね」と。
いうとおり、起きて台所にゆくと食べるものがまったくない。
文句をいうと、
「バイトにゆくと思って、何も買ってないからね。こんなに遅くまで寝てるあんたが悪い。食べるものはないんだから、夕飯までがまんするか、どこかへ行って食べてきなさい!」
やれやれ、おれも土用干しかぁ・・・・
家ぢゆうが仏間の暗さ土用干し(鷹羽狩行)