昭和54年ごろのこと。研究室でしゃれ者のOとたわいない話しをしていた。
O「ところでさ、今日はノアが箱舟から出てきた日なんだぜ。知ってる?」
私「え?ノアってあの・・・聖書にでてくるやつか?」
O「そうだよ」
私「なんでまたそんなことを言うんだ?」
O「いやぁ、この前なんとなく、読んでた本に、面白話しがあってさ。そのなかに出てたんだよな。洪水伝説っていうのは、世界中にあるんだけど、ユダヤ教やキリスト教での旧約聖書では、神のおしおきである大洪水が、40日40夜続いて、水が引いて地上が乾いて箱舟から出られたのが、今日の27日なんだって」
私「へぇぇぇ~~~・・・・日にちまで記録があるのかよ」
O「ああ、旧約聖書の創世記に記載があるんだ」
私「なるほどなぁ。あの有名な、ハトがオリーブの葉っぱを持って帰って、水がひいたってことが分かったってやつだろ。それが27日かぁ」
O「ちがうちがう。それは、ハトがまだ地上に降りられないけど、水が引いてきたっていう合図にすぎないのさ。27日前だよ」
私「え?そうなのか?」
O「そうだよ。話しには続きがあって、その後もう一度ハトを放ったら帰ってこなかったので、上陸できたんだよ。
お前がノアだったら、歴史は変わったろうなぁ・・・ハハハハハハ・・・」
私「・・・・・・」
悔ゆる身を忘ぜんとする冬日かな(飯田蛇笏)