昭和53年の頃、大学地下食堂でハチヤ君と食事後の一服を楽しんでいた。
ハ「ノリモさん、あさっては小正月ですね。
あちこちで、『どんど焼き』がありますよ」
私「ああ・・・神社なんかで開かれる、たき火ね」
ハ「たき火って・・・もう・・・宮中行事がもとの神事なんですからね」
私「そうなの?」
正月15日の夜に正月飾りや御札を焼いたんです。
そのとき、青竹を重ねたところに扇子や短冊をそえて、
陰陽師が謳い、はやしたんだそうですよ。
それが民間につたわったんだっていわれるんです」
私「なるほど・・・だけどなんで、正月飾りや御守りなんだろ?
要らないもの全部焼いちゃえばいいだろ?」
ハ「そりゃまぁ、陰陽師が出てくるくらいだから、縁起を担いでるんでしょ。
めでたい正月が15日で終わって、その締めくくりをするのに、
火をつかって正月用の飾りを処分することで
神さまにつながっていくってことじゃないですか?
一種の神事でもあるんでしょ」
そのとき、わたしが手に持っているたばこが、
パチッと小さくはじけて、火の粉が手の甲に飛んだ。
私「あちっ!!!」
ハ「ほら、神罰が下った」
私「ちがうね、神とつながったんだよ」
ハ「・・・・・・・」
どんど焚くどんどと雪のふりにけり(一茶)