昭和55年ごろ、中学からの友人Yが部屋で新聞を広げて、
私と話しているときのこと。
Y「おい、今日は南極で置き去りにされた、
カラフト犬が生きて発見された日だってさ」
私「ああぁぁ・・・何か聞いたことあるなぁ・・・しろ・くろだっけ?」
Y「ばか、1年生の国語の『しろしろ こいこい』じゃあるまいし・・・
タロ・ジロだよ!!」
私「ははは・・・・ちょっとちがったか」
Y「昭和33年1月に南極で15頭の犬が置き去りにされて、
翌年の1月14日に、この2頭が生き残ってたんだってさ」
私「へぇぇぇ~・・・すごいよなぁ・・・極寒のなかでさぁ・・・
何食べてたんだろ?」
Y「ええっとな・・・諸説あって・・・
アザラシのフンとか・・・死んだペンギンなんかを
餌にしてたんじゃないかってさ」
私「ふぅぅンンン・・・だけどよくタロ・ジロだってよく分かったよなぁ」
Y「うん、記録によると、ジロの足には白い模様があって、
そこから、ジロかもしれないって、
隊員が『ジロ』って呼びかけたら、反応したんだってさ」
私「へぇ~~~ 犬ってすごいなぁ。名前を呼ばれると反応するんだなぁ・・・」
Y「ためしてみるか」
と、空になったコーヒーカップをちょっと左右に振って
Y「よしあき・・・よしあき・・・お手・・・」
・・・・ばかやろぅ・・・・
夢に見し隕石の原青氷(あおごおり)いま我立てりやまと山麓
(永田 武[南極観測隊隊長])