昭和54年ころの正月。Yの家へ出かけた。
私「おぉ~ぃ、居るかぁ。明けましておめでとう」
Y「おお、のりもぉ。おめでとぉ・・・今年初めて会うなぁ。元気かぁ」
私「何言ってんだよ。五日ほど前に会ったばかりじゃないか」
Y「それでも、去年だろ?」
私「もぉ。ところでお屠蘇気分なのか?昼間っから顔が真っ赤じゃないか」
Y「ああ。出先で『鏡開き』があってさ。ちょっと2杯ほど飲んで帰ってきたところなんだよ」
私「ああ・・・酒樽を槌で打ち割って振るまうやつかぁ」
Y「おまえさぁ、縁起でもない。正月から打ち割るって言うなよ。
そこを開くって言い換えるから、『鏡開き』なんじゃないか。
もう、情緒のないやつだなぁ」
私「なにを縁起かつぎしてんだよ。まぁ、分かったけどさ。ところでこの言葉の、
酒樽なのに、なんで鏡なんだろ?」
Y「うん?調べてみるかぁ・・・ええっと・・・かがみびらき・・・・
『正月のおそなえの鏡餅を小さくしてたべる・・・
または・・・
お祝いのときに、菰樽の蓋を割って開封すること』か・・・
えっと、酒屋業界では酒樽のことを『鏡』っていうことから始まってるんだってさ」
私「ふぅぅぅンンン・・・・だけどまぁ、餅も樽蓋も丸いから鏡なんだろ?」
Y「まったくぅ・・・情緒ねえなぁ、お前は。この鏡っていうのは、三種の神器の
『八咫鏡』(やたのかがみ)からきてるんだよ」
私「おまえ、辞書見てるから分かるんじゃねえか、もぉ~~」
Y「あれ?これ常識だよ」
・・・・うそいえ・・・・・
御年始の返事をするや二階から(一茶)