昭和53年12月、しゃれ者Oとの会話。
私「あれ、O。胸に赤い羽根がついてるじゃないか?」
O「あ。分かった?ポイントになって、ちょっとおしゃれだろ?」
私「めずらしいなぁ・・・お前、意味もなく寄付するのはいやだって言ってたじゃないか。赤い羽根募金をするなんて。あ、分かった。よっぽどかわいい娘に駅かなんかで勧誘されたんだろ」
O「ばか言え、純粋な善意からだよ。『信じよさらば救われん』」
私「お前、都合よすぎ。その言葉だって、聖書のモジリだろ。日本宗だったんじゃないのか?」
O「ははは・・・・。だけど、赤い羽根の赤で思いだしたんだが、ドイツではカゼを引いたときとか、寒い日に赤ワインを熱いお湯で割った『ホットワイン』を飲むことがあるんだそうだぜ」
私「え? ワインをあっためて飲むのか? アルコールが抜けてしまって うまくないだろぅ?」
O「体があったまって、カゼがなおるんだから、いえば薬なんだろぅな」
私「なにか、今日はニセモノの話しばっかりしてるなぁ」
O「『ニセモノも 良き効果なら ホンモノに勝つ』ってね」
私「誰のことば?」
O「おれの言葉」
私「・・・・・・・」
裏おもて見定め赤い羽根を挿す(高井北杜)