5月のはじめころ、大学院の資料室でコピーしていると、二人の他学門専攻の院生が話しをしているのが聞こえてきた。
「先週はどうだった?祭りに行ってきたのか?」
「ああ、ひとがいっぱいでさぁ、まあ、いつものとおり『見物左衛門』のオンパレードだよ」
と、葵祭のことを話していた。
うん・・・・?『けんぶつざえもん』?なんだろぅ・・・・?
その場はそれで終わった。
家で辞書を引いてみると、ああ・・・これかぁということに。
「見物人を擬人化することば。多くは、いなかから都を見物に来たひとをいう」
そのほかに、狂言や歌舞伎の演目として演じられるものであるとのこと。
ふぅぅぅん・・・と思いながら、これを忘れてしまっていた。
後年、テレビを見ていると、一人狂言が演じられていて、その演目が『見物左衛門』であった。
主人公の見物左衛門が5月5日の深草祭りに出かけて、流鏑馬や相撲などを見物する様子を演じている。
どこかでこの『ことば』聞いたなぁ・・・とテレビを見ていて、
やっと、他専攻院生がはなしているのを思い出した・・・
ああ、あのときの院生ってこの狂言を知っていて話してたのかなぁ・・・
と感じたものである。
わたしなら、ただの田舎者の見物人ですが・・・・
狂言の見物左衛門という意味なら、
あの会話はどういうことになるんだろぅ?・・・・・
五月来ぬ心ひらけし五月来ぬ(星野立子)