“すでに死んだと思われている時間のなかで
彼らの生はもっとも輝き 生涯忘れることのない
若き神話の日々を過ごしている”
(NHK大河ドラマ『黄金の日々』第9話 交易事始のナレーション より)
昭和53年のNHK大河ドラマである。主人公助三をはじめとする3人が時化に遭って、フィリピンの小島に漂着するときに流れたものである。
ある日、大学院生たちが話している。
A「きのうの『黄金の日々』見たか?」
B「え、見ないよ。どんなだった」
A「主人公の松本幸四郎たち三人がさ、遭難して・・・そのときのナレーションが、味があるんだよなぁ。『すでに死んだ・・・過ごしている』ってさ」
B「ははhahaha・・・・それ今の俺たちと同じじゃないかぁ」
A「え、なんで?」
B「だって、大学院で就職のために避難して、他の人間からはもう『死んでいる』と思われていてもおかしくないだろぅ?」
A「どっこい、俺は生きてるぜ」
B「はは、その意気、その意気。だけど口の悪い奴らは大学院っていうくらいだから病院と近いんだから、早く退院しろよって言われてるぜ」
B「いいよぉ、われわれは黄金の日々の主人公と一緒で、『神話の日々』をすごしてるんだから!」
A「それって、院生に独特の5月病かもよ・・・・?」
負け惜しみに近いことを話す学舎内の研究室でした・・・・
五月来ぬ 心ひらけし 五月来ぬ(星野立子)