われわれがこどもの時代には、「月極」(つきぎめ)ということばがよくつかわれた。
特に、家の周りには「月極 モータープール」という看板がよく掛かっていた。
この月極というのは、1か月でいくらのお金を払うという意味、もっといえば、月額での支払を意味したのである。
この言葉があまり見られなくなるのは、われわれの大学の頃である。
A「おい、この頃、月極っていうことばは、なくなってきたよな」
B「ああ、モータープールも少なくなってきてるもんなぁ」
A「別に、モータープールだけが月極っていうわけじゃないだろう?」
B「うん。だけど、月極なんて支払形式は古くからあって、時代とともに、言い方がかわってきてるだけだよ。現代風にいえば、『定額契約』とか、『定期購買』とか言ってるじゃないか」
A「なるほどね。月で決済するという江戸時代からの習慣があって、それを日本語で表現すると月極になるんだろうなぁ」
B「ああ、落語でも、月の掛取りとか言って話しがすすむじゃないか」
A「それじゃあ、なんでモータープールにだけ残っているんだろう?」
B「昔からやってる業者が、習慣的に使ってたんだろう。ま、そのうちなくなるよ。モータープールってことばも消えてきてるもん」
A「そうかなぁ・・・・・。しかし、そういえば、若い子がこれを『げっきょく』って読んで、チェーン店の駐車場会社の名前だと勘違いしたってはなしだぜ」
B「へえぇぇぇ~・・・・」
掛乞や商がたき連れ立ちて (根岸善雄)