やわらかい陽が差す2月の後期試験日。
大学のたまり場にて。
A「東風吹かば にほひをこせよ梅のはな あるじなしとて 春を忘るな」
B「お、道真か?優雅だねぇ」
C「おい、『春なわすれそ』じゃないのか?まちがってるよ」
A「まちがってないさ。文献によってちがうのさ、拾遺和歌集だと『忘るな』になるんだよ」
C「だって、高校時代に習ったのは、『な・・・そ』の掛りで否定の意味がある、優雅なうただっていう解説だったぜ。春を忘るなじゃ意味が変わるだろう?」
A「変わらねぇよ。『忘るな』って『な』って否定助詞がついてんじゃないか。『大鏡』の編者がたぶん、否定を優雅でやわらかくするために『春なわすれそ』って改変したんだろうって言われてるよ」
C「そうかぁ・・・」
B「おい、行こうぜ。試験がはじまるぞ。『はらからよ いまぞ学びのはじめなり 楽しかりとも 時ぞ忘るな』」
A・C「なんだよ、それ。へたくそ」
B「はははは・・・・・」
お梅見の白粉厚き寒さかな(子規)