1月20日が関西では鏡開きである。
縁起のうえからも切ってはならないとされ、食べやすい小餅にするのに、木槌などで割って小さくしなければならないと言われている。
さて、鏡餅はいつからあるのだろうか?
悪友たちとのはなし。
B「鏡餅の風習って、いつからなんだろう?」
A「知らんよ。祝いものだから、昔からあるみたいだぜ」
B「そっけないなぁ、何か鏡餅に関わるはなしは、ないのかよ?」
A「有名なところでは、源氏物語だな」
A「そうだよ。正月のお祝いを書いた『初音』っていう帖にでてくるよ」
C「どんなの?ちょっと説明しろよ」
A「ええっと、たしか源氏の正妻の『紫の上』の御殿で、仕えている女房どもが、鏡餅にむかって願い事をしているっていうシーンがあるのさ」
B「なんで、鏡餅にねがいごとをするんだよ?」
A「そんなもの、紫式部に聞けよ!まぁ、鏡餅は歳神さまが、餅に宿ってるんだろぅ?そのとき、平安貴族が正月のうきうきしたときに、歳神様に向かって、これこれのことが叶いますようにってお祈りするのって、ありうることだろうぜ。ま、かわいらしくもあるがなぁ」
B・C「なるほどぉ・・・」
あとで、その部分を調べてみると、
『春の御殿の御前、とりわきて、梅の香も御簾のうちの匂ひに吹きまがひ・・・・・歯固めの祝ひして、鏡餅をさへ取り混ぜて、千年の陰にしるき年のうちの栄ひ事どもして、そぼれ(戯れ)あへるに・・・・』だそうである。
Aに「どこが、お祈りだよ、何も書いてないじゃないか?」
A「貸してみな。ほらここ!光源氏が女房たちに言ってるだろ」と指をさす。
見ると、
『いとしたたかなるみずからの祝ひ事どもかな。皆おのおの思ふことの道々あらむかし。すこし聞かせよや。われことぶきせむ』とある。
A「いいか、光源氏が屋敷にやってきて、女房たちがにぎやかにわいわい言ってるから、『おお、鏡餅に願いをかけているのか。どんな願いなのか教えておくれ』って、からかってるんだよ」
もう一度、「なるほどぉ・・・・」
鏡割り女はつよくなりにけり(水原春郎)