norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

春の七草

 1月8日になって、はじめて大学は講義が始まる。

わたしにすると、やれやれ、やっとみんなに会えるという安堵感があった。

 

大学のたまり場で。

M「おめでとう」

わたしも、おめでとう、と返す。

 

M「ところで、きのう七草粥は食べた?」

私「ああ、だけどあれは口にあわないなぁ・・・」

 

M「まったくお前は、いつもながら『子ども口』だなぁ・・・」

私「なんだよ、正月早々」

 

M「まあ、まあ、怒るな、文化論をしようぜ。七草は言えるか?」

私「せり、なずな、ゴギョウ、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草!」

 

M「お、言えるじゃないか。それじゃあ、秋の七草は?」

私「・・・・・しらないや・・・・」

 

M「な、そうだろ。ふつうみんな春の七草は覚えてんのにさ。あれは、山上憶良が歌った詩が元になってんだぜ」

私「どんな?」                                                                

 

M「『秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびおり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花』っていうのと『萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝貌の花』っていう詩さ」

私「ふうぅぅン 詳しいじゃないか?」

 

M「ああ、高校のとき古典でならったからな。秋の七草は観賞用で、春つまり正月の七草は正月のごちそうで満腹の胃を調整するための食用なわけさ」

私「で、おまえはどっちの七草が好き?」

 

M「おれは詩人だぜ。当然、秋の七草じゃないか」

私「おまえだって、にがい七草がゆ、好きじゃないからそう言ってんだろ」

M「ははは・・・」

 

       七種や今を昔の粥の味(鴻村)