
♫ あざやかなみどりよ あかるいみどりよ
鳥居をつつみ わら屋をかくし
かおる かおる 若葉がかおる・・・・♪
草いきれの匂いでいっぱいの大学坂道を
東洋法制史専攻のハチヤ君と地下食堂へ向けて歩いていた。
ハ「♪ みどりよ~・・・かおる かおる・・・フフフゥンン・・・」
私「なに?その歌・・・?
あんまり・・・聞いたことない曲だなぁ・・・」
ハ「え・・・?ぁぁ・・・知りません?・・・
どちらかというと・・あまりメジャーな曲じゃないんですよ・・・
僕の母親なんかが小学生のとき教科書に載ってたって・・
よく歌ってんですよね・・・
『わかば』っていって、
昭和17年に作られた唱歌だそうですよ・・・」
私「へぇぇ~~~・・・戦前の歌かぁ・・・
だけど・・唱歌でいったら、
♪う~のはなぁの にぉぉかきねに~(『夏は来ぬ』唱歌)
の方だろ?」
ハ「ええ・・・それは明治20年代にすでに出来上がってんで、
そっちの方が古いんですよね・・・
だから、いえば・・・
ノリモさんの頭と僕の頭とのちがいくらいの距離があるわけですよ」
私「俺のあたまは骨董品かよ・・・もぉぉ・・・」
ハ「ははは・・・失礼しました・・・
だけど・・・いいでしょ・・・この詩・・・
単純なんだけど・・・5月のさわやかさにぴったりでしょ。
万葉の歌にもね、
『春は萌え夏は緑に紅のまだらに見ゆる秋の山かも』(第十巻2177)
っていうのがあるんですよ」
私「・・・ウン・・・?」
ハ「これ全部季節の色をあらわすんですよね・・・
春は・・もえぎいろ・・・夏は・・みどりいろ・・・
秋は・・やまがまだらに いろづいた・・くれない・・の・・あか・・・ ね・・・」
私「・・・なるほど・・・ふゆがないのがわかるねぇ・・・」
ハ「・・・え・・・?」
私「冬は・・しろ・・・で・・
無しの・・ブランク・・・だろ?」
ハ「・・・・・・・」
五月どこかに青空からたち曇れども (大野林火)