♫ あなたの過去など 知りたくないの
済んでしまったことは 仕方ないじゃないの
あの人のことは・・・早く昔の恋を 忘れてほしいの・・・♪
(『知りたくないの』菅原洋一 作詞:H.Bernes・なかにし礼 作曲:D. Robertson)
昭和60年ごろの夜、Yの部屋で話してると、この曲がラジオから流れてきた。
Y「お、『知りたくないの』か・・・
♪すんで しまったことわ~ しかたないじゃないのぉ~・・・」
私「はは・・・だけどこの歌手の声って魅力的だよな・・・
もともとはクラッシック歌手になるつもりだったんだろ?」
Y「タンゴが歌いたかったって聞いたぜ・・・
だけどこの曲聴いてると、『ふゆ~~~』って感じしないか?」
私「なんでだよ?」
Y「だってさ、この曲って赤々と燃えたペチカの前で、
男と女が話してて、
窓の外には雪っていう情景が思い浮かぶんだよなぁ・・・」
私「おやまぁ・・・ロマンチストだねぇ・・・
まぁ、今日は大寒だからイメージとしては、ぴったりかもな」
Y「大寒って言っちまうと、純和風に変わっちまうじゃないか・・・
センス悪いよお前」
私「そんなことないんだよな。
ことわざにさ、
『大寒にして後 裘(きゅう)を求む』
っていうのがあるんだよな」
Y「なんだよそれ。また誰かが言ってたことの受け売りだろ?」
私「はは・・・意味はさ、
『寒さが厳しくなってから毛皮のころもをさがし始める』
ってんだってさ。
つまり、何か事が起こってから騒ぐってことなんだよ。
ある大学の国文学の先生が教えてくれたのさ」
Y「それがなんで『知りたくないの』と関係あるんだよ?」
私「♪ あ~なたの過去など知りたくないの~
済んでしまったことわ~しかたないじゃないの~ ってんだろ?
『大寒にして後、 裘(きゅう)を求めず』」
Y「逆じゃねぇか・・・ばか!」
私「ははは・・・・」
凍光に放心の刻ペチカもゆ(飯田蛇笏)