♬ 泣きながらちぎった写真を 手のひらにつなげてみるの
なやみなききのうのほほえみ わけもなくにくらしいのよ
青春の後ろ姿を ひとはみな忘れてしまう
あの頃のわたしに戻って あなたに会いたい・・・♪
昭和55年ごろの秋夕暮れである。Yの部屋で柿をごちそうになっていた。
Y「どうだ?甘くておいしいだろぅ?」
私「うん、うまい。どうしたんだよ?」
Y「どうしたって・・・買ってきたんじゃないか・・・
この辺りで落ちてるわけないだろうが。感謝しろよ。
秋の味覚のおすそ分けなんだからな」
私「はいはい・・・でもさ・・・
ちょっと硬すぎないか?
おれは、もうちょっと熟れた
『じゅぅわぁぁ~』としたやつの方が好きだなぁ・・・」
Y「ま、好みだけどな。あれは剝きにくいし、甘すぎるんだよなぁ・・・
俺としては、これくらいの方がいいな。
このカリカリ感・・・『う~ん・・・マンダム!!』」
私「それは男性化粧品の宣伝文句だろうが・・・
もぉ・・・今頃はだれも知らないだろ」
Y「はははは」
そのとき、ラジオからユーミン曲がながれてきた。
Y「お、あの頃に戻りたいだ。
♪フフフフフゥン~ ちぎぃったしゃしんぉ~・・・てのひらにぃ~・・・
いいなぁこれ・・・なんか好きなんだよな俺」
私「お・・・妙に感傷的だね、お前にも秋は来るんだね」
Y「『柿食えばユーミン聞こえるわが家かな』」
私「・・・・・・・・・・」
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺(子規)