♬ これでおよしよ そんなに強くないのに
酔えば酔うほど 淋しくなってしまう・・・
指で包んだ まるいグラスの底にも
残り少ない 夢がゆれている・・・♪
(『ブランデーグラス』歌:石原裕次郎 作詞:山口洋子 作曲:小谷充)
昭和52年11月、Yの家へゆくと、Yがカセットテープで、この曲を聴きながら、甘いかおりのタバコをくゆらせていた。
この頃は、成人男子のおよそ70パーセントがタバコを吸っていた時代である。
私「おい、コーヒー飲んで、タバコふかして『ブランデーグラス』かぁ?」
Y「おう、のりも。どうだ、ナウいだろ」
私「ナウいって・・・お前・・・古いよ。もうほとんど、はやってないことばだろ」
Y「ははは、そういうなよ。今日さぁ、ナンバのタバコセンターへ行ったらさ、新発売の紙巻型葉巻とメンソールたばこが出てたんだよ。それで、ためしたくなってさ、少しだけ買ってきたんだよな。うちには、ブランデーなんてないから、ブラックコーヒー飲んで、今、ためしてんだ」
私「なるほど、それでお前は、裕次郎きぶんってわけか?」
Y「そう!ちょっとシブイだろ?」
私「・・・・・(ばか)・・・・・・」
醉ざめや十日の菊にたばこのむ(正岡子規)