♪ たいらばやしか ひらりんか いちはち じゅう の もっくもく
ひとつと やっつで とっきっき~ ♪ (落語「平林」より)
テレビをみていて、落語家が泣きながら、大声を出している。
もちろん、演技ではあるが、やはり真に迫っておもしろいものである。
大学生で三月のある日、この落語をテレビで見ていて、ふっと、わがゼミ講義を思い出した。
このとき、手形についての学生発表があったのだが、白地手形がでたとき、「しろじてがた」と読んだのである。
そのとき、先生が
「うん?これは『しらじ』とよむんじゃ。『しろじ』じゃあ、日本の旗になってしまうだろ?」とおっしゃったのである。
多くの学生が吹き出していたが、すぐには分からず、ぽかん としているゼミ生もいた。
帰りに
A「なあ、なんでみんな笑ってたの?」
B「え、だって、先生の冗談って、日本の旗のうた『しろじにあかく 日の丸そめて ああ美しい・・・』っていう唱歌を引用して説明してただろ?あれが、おかしかったからさ」
A「うん・・・?」
B「あのな、当意即妙のおもしろさってあるだろぅ?こどもだって知っている歌詞を使って、まちがってるよって言ってんだと思うぜ」
A「そうかぁ、だけど白地って読み方が、ちがってんだもんなぁ。実務を知らなきゃわかんないよなぁ」
B「そりゃまぁ、日本語はその使い方によって読み方が変わることがあるんだよな。白地だって、『しろじ、はくち、しらじ』って読みが三っつに変わるもんな」
A「そうだよなぁ、しかしややっこしいなぁ・・・」
B「うん。それでも、まあ、平林を『いちはちじゅうのもくもく』なんて、よむことはないけどな」
ははは・・・・・
村中のことば集める春彼岸(橋本鉄也)