6月のときとは反対に、10月は冬への衣替えの時期である。
10月の第一週から第二週にかけて、大学では4年生のスーツ姿が目立つようになる。
大学のゼミ仲間も就職活動の合間に、学舎の外に姿を見せている。
A「おい、なかなか決まってるじゃないか」
B「うん、いいだろう。ちょっと無理して、いいスーツを買ってみたんだ」
A「ああ、馬子にも衣装だぜ」
B「おい、それちょっとひどくないかぁ。馬子っていうと、普段、相当ひどい恰好をしてるっていうことじゃないか」
A「でも、そうだろ。おまえなんか、講義のときなんかでもジーンズ姿以外、見たことないじゃないか」
B「まあなぁ。だけど、このネクタイというやつ、慣れないから首が痛くてしょうがないや」
といって、紺のネクタイを、はずすのである。 と、
B「あ、しまった。これ締めるのに10分も掛ってるんだった。あとまだ、会社訪問しなきゃならんのにぃ・・・はじめからやりなおしだよ」
B「どうしてくれる、A!!」
知るかい。自分でやったんだろうが・・・・・
秋晴や背広無粋にあらはるる(後藤信雄)