大学にて。
A「和名での1月はむつきだろぅ、あれってなんで?」
B「正月は、みんなが集まってむつみ合って過ごすからさ」
A「それだけ?」
B「うん、それが通説」
A「つまんねぇ・・・」
B「つまんなくないよ。これは8世紀から文献に残ってんだぜ」
A「どういうこと?説明しろよ」
B「まず、万葉集で、よみびとは、だれか分かんないけど、
『武都紀(ムツキ)たち春の来たらばかくしこそ梅を招(を)きつつたのしき終へめ』
〈紀卿(名未詳)〉
って詠んでんだよ。
ここのムツキっていうのは漢字の当て字だろ。
ということは、音が先にあって 正月を『むつき』って言ってた証拠にもなるじゃないか」
A「うん、うん」
『正月(むつき)立つ 春の初めに かくしつつ 相(あひ)し 笑(ゑ)みてば 時(とき)じけめやも』
って詠んで、正月のはじめからみんなで笑い合ってすごすのは楽しいよって言ってんだよ。ここでも、家持は正月って書いてんのに、ムツキって読んでるじゃないか。当時から正月をムツキって言ってるからこそ、いまだにこの読み方が残ってるんだろ?すごいとおもわないか?」
A「分かんないだろ。当時は『しょうがつ』って読んでたかもしれないじゃないか」
B「あのな。おまえこれ和歌だよ。正月を『しょうがつ』って詠んだら七五調にならないし、センス悪いだろうが」
A「ううぅぅンンン・・・・・・・・」
松の間の障子真白く御歌会(澤木欣一)