norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

末川博先生

 高校生の頃、本屋へ行ったときに、岩波新書の棚を見ていると、末川博という名前が目に飛び込んできた。

わたしは、あぁ・・・歴史で習った京大滝川事件の教授かぁ、というのが最初の感想であり、失礼ながら故人なのだろうと手にとって奥付の経歴をみてみると、ご存命であった。

 

 軽い感動を覚え、この本を買って帰った。

『彼のあゆんだ道』という題名である。

この本の『はしがき』によれば、末川先生は人生を25年ごとに3分割して、生まれて教育を受ける時期、これまで受けた恩を社会に還元していく時期、残りの時期を自分の思うように生きていくと考えのもと、これを実行していると筆者はのべられていた。

 

これは、わたしには、衝撃であった。

え、自分の人生がそんなに計画的に進むのか・・・・という驚きである。

大学学部の選択が法学になったひとつのきっかけでもあった。

 

 大学に入ると、末川先生の名が、あちこちに出てくる。

まず、一番初めは六法全書を買うと、『編者代表 末川博』。

また、民法での権利濫用を勉強することになったときは、『末川先生古希記念論文集』(1962)、末川博『権利侵害と権利濫用』(1970)、法律文献を調べる時の『民商法雑誌』編集代表 末川博などなど・・・・

 

 わたしは、うわぁ・・・民法の最初の条文の問題、『権利濫用』からすぐ末川先生か・・・・・すごいもんだぁと思ったものである。

 

 その後、わたしが大学生活を終える年の2月に。

末川先生の訃報が・・・・享年85歳。

 

 それぞれの時期は予定より少し長いのであろうが、みごとな三分割の人生である。

尊敬とともに感謝、黙祷。

 

     色変へぬ松をかまへて御師の家(川崎展宏)