♫ 鳶色の瞳に誘惑のかげり
金木犀の咲く道を 銀色の翼の馬で駆けてくる・・・
君のひとみは一万ボルト 地上に降りた最後の天使・・・・♪
(『君のひとみは10000ボルト』作詞:谷村新司 作曲:堀内孝雄)
昭和60年ごろ、大学地下食堂へ向かって、ハチヤ君と坂道を下っていた。
ハ「♪きみのひとみわ~ フフフフフフンフ~・・・・」
私「お!君の瞳は百万ボルトか・・・」
ハ「一万ボルトでしょ・・・もぉ・・・・」
私「はは・・・一万じゃ少なすぎるだろ・・・
このご時世、百万ボルトの方が 景気がいいじゃないか」
ハ「歌詞を盛ってどうすんですか・・・
あ、ところで、この歌詞のとび色ってどんな色だか分かります?のりもさん」
私「え?とびいろ?・・・ウウンンン・・・鳥のトンビにちなんだ色・・・かな・・・」
ハ「あ・・・当たった・・・そうちょっと濃い目の茶色なんですよね」
私「・・・うん・・・それがどうかしたの?」
ハ「いえね、今日、うちの師匠と話してたんですけどね。
日本語って色をあらわすのにいろんな表現があるんだっていうんですよね。
たとえば、12月をあらわす色として、
濃朽葉(こいくちば)とか、緋銅色(ひどうしょく)、
黄鼠(きねず)、焦香(こがれこう)とかいう、
いわば枯れ木色を基調にしたっていうか茶色系のさまざまな色のちがいを
微妙に言い換える表現があるんですよね」
私「へぇぇ~~~ 12月の色表現かぁ・・・なるほどね。
だけど、雪なんかは白か銀って表現だけしかないんじゃないの?」
ハ「いえ、それがね。冬の雪の色の表現としても、
たとえば銀鼠(ぎんねず)とか銀灰色(ぎんかいしょく)っていって、
濃いいろのものと、薄い色のものをわけることがあるんですって」
私「へぇぇ~~・・・だけどなんでだろう・・・?」
ハ「日本人の性格じゃないですか?・・・
うちの師匠なんかによると・・・
日本人って細かで微妙な違いを見つけたり作ったりするのが好きなんですよね・・・
それに現実の色がそこにない時に、
人に説明するのに、ことばを使って色を表現するってむつかしいけど、
ある意味たのしいことなんでしょうね」
私「・・・・(ゥン)・・・・」
うすうすと紺のぼりたる師走空(飯田龍太)