昭和60年ごろの昼、ハチヤ君と昼ごはんを食べるのに、
大学の坂道を下っていた。
私「いつまでも暑いなぁ・・・夏バテしそうだよ・・・」
ハ「ははは・・・そうですね。
そうだ、のりもさんちょっと面白い話しをしましょうか?」
私「何?なにかおいしい物を食べさせる店でも見つけたの?」
ハ「ちがいますよぉ・・・鎌倉時代の時効取得のはなし」
私「時効取得?あの民法が、
他人の物でも、10年以上持ってれば自分の物になるって定めてるやつ?」
ハ「そうですよ。鎌倉の御成敗式目の第八条にね、
知行を受けた者が20年間その権利を行使しなかったら、
その地を支配する者の権利を認めるっていう規定があるんですよね」
私「へぇぇ~~~
今の民法162条の不動産時効取得と同じ様な規定があるのか・・・
おもしろいね・・・
だけどなんで今も昔も土地は20年なのかねぇ・・・」
ハ「そこですかぁ・・・
ま、それくらい長い間実際の支配をしなかったら実態にあわないからでしょ」
私「うん・・・それはわかるけど・・・
なんで10年とか12年とか15年とかじゃなっくて、
20年なのかってことだよ。
今も昔も時の長さが一緒になって、なぜ20年かってことなんだよな・・・」
ハ「わかりませんけどね。
鎌倉幕府って1192年から1333年までだとするでしょ。
およそ142年ですよね。それで執権は17代だから・・・
ひとりだいたい・・・8年ちょっとでしょ・・・
ということは・・・だいたい十年経ったら時代が変わる
まさに『十年ひとむかし』ってことで、
二代前の二十年もそういう状態なら
動かしようがないってことでしょうかねぇ・・・・」
私「うぅンンン・・・でもさ。
江戸幕府なら1603年から1868年で、15代だろ・・・
ひとり・・・17年余りで・・・
『十七年ひとむかし』ってことにならない?」
ハ「ちがいますよ。十年でいいんですよ」
私「なんで?」
ハ「鎌倉時代は土地支配を望む者が悟りを開くってことで
『志者悟入』(四捨五入)の、ひと昔十年。
江戸時代は『切り捨て御免』で 同じく十年なんですよ」
私「・・・(わけ・・わからん)・・・・・」
夏の日の色としもなし青山椒(正岡子規)