昭和53年、将棋名人の、大山康晴氏が王将に帰り咲いた。
中堅のエース加藤一二三氏を破っての18度目の王将位である。
18度目というのですらすごいことなのに、昭和27年に初めて王将となってから、有に26年間トップ将棋師として過ごし、このころ、若手が将棋の中核であると言われ始めた世界にあって、御年54歳での快挙であった。
大学でも将棋好きの仲間たちの話題であった。
A「おいぃ、大山さんが返り咲いたなぁ・・・」
B「ああ、もう王将は無理だとおもってたけどなぁ・・・『昭和いまだ、ここにあり』って感じだなぁ・・・」
C「大山さんは大正生まれだろ。『大正いまだここにあり』だろうが」
B「うるせぇ・・・こまかいこと言うな」
A「ははは、ところでさ、あの攻めの加藤が、守りの大山に負けたってのが、象徴的だって思わないか?」
B「うん・・・守って勝つなんてのは・・・なにかしらカッコいいんだよなぁ・・・・」
C「うん・・・シブい・・・・」
この頃のシブいというのは、はやりの誉めことばでした(天のこえ)
花守や修行者とめて物語り(子規)