norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

登龍門

  ♬ 屋根より高い 鯉のぼり 

       大きい真鯉はおとうさん ちいさい緋鯉はこどもたち 

                       おもしろそうに 泳いでる ♪

                (童謡「こいのぼり」作詞:近藤宮子 作曲不詳)

 

 大学内がやっと落ち着いて、あちこちでまたサツキがぽつぽつと咲き始める。

大学の坂道の右側がスタンドのあるグラウンドになっている。

きもちのいい昼下がり、同学年のOと話しながら大学院学舎へ向かっていた。

 

O「やれやれ、ここは駅から教室までゆくのは大変だよ」

私「うん?なんで?」

 

Oは大学院から、わが大学へ進学してきている。

刑法専攻の軽妙洒脱な俊英である。

 

O「駅から遠いし、ひとは多いし、馬は歩くし・・・・」

私「ははは、まだ言ってるのかよ。馬はだいじょうぶだって」

 

O「この前なんかさ、坂道を下ってると、反対側から幼稚園児が束になって登ってきて、横をすりぬけていくんだぜ。ぶつかるかと思ったぜ」

私「え、べつにぶつかったっていいじゃないか」

 

O「あのさ、こどもとぶつかって、けがでもさせたらたいへんじゃないかぁ」

私「なるほど、君が馬ってわけか」

 

O「おーい、おれを乗馬うまにするなよ。せめて、季節柄で、鯉にしてくれよ。門をすぎたら龍になろうとしてるんだから」

 

 大学という門を超えて龍になるということのようです・・・・・

 ははは、なるほど・・・

 

       処得て大阪城に鯉幟(山口誓子