4月末のある日。
雨がふっている。
そんなに大粒ではないが、傘は必要な、しとしと雨であった。
駅から研究室まで10分ほどの距離を歩いている。
学校の門の前の桜もそろそろ、散り終わり、緑色の葉っぱが多くでている。
この季節、雨が多い。はしり梅雨とでもいうのであろう。
しかし、あたたかくなったことで、朝でもあり、ここちよい。
坂道を登り切って、研究棟に入ろうとしたとき、下宿生のUが反対の道からやってくる。見ると、髪の毛がぐっしょり濡れている。
私「おい、びしょびしょじゃないか」
U「うん、探したんだけど、傘がなくってさ」
私「それで、傘なしで来たのか?」
U「ああ、どうも研究室に忘れたらしい。だけどこの時間に来ないと授業に間にあわないからさぁ」
私「はやく、部屋へゆこうぜ、タオルぐらいあるだろう。まず乾かせよ」
U「うん、乾かして、温ったかいコーヒーでも飲むさ」
私「こんな雨なのに、帽子くらい、かぶってくればいいのに・・・」
U「春雨じゃ 濡れてゆこう・・・」
ばか、お前は『月形半平太』か?それにあれは、霧雨の場合だろうが・・・・・・
春雨の花の上降り細さかな(篠原)