夜8時のテレビ。
ザ・ドリフターズの『八時だヨ 全員集合』、加藤茶が歌舞伎衣装で、
ぜっけいかな ぜっけいかな~~~
とさけんでふざけている。
いかりや長介に突き飛ばされて暗転となった。
これはコントであるが、元は歌舞伎「櫻門五三桐」の一場面である。
満開の桜をバックに、南禅寺山門の屋上で、大見得を切るという有名な歌舞伎だそうな。
五右衛門がキセルをふかしながら「絶景かな、絶景かな。春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ。この五右衛門の目からは、値万両、万々両……」と叫ぶ。
ほんとうに、春らしいはでな演目であると思われた。
このとき、いっしょに食卓のテレビ前にいた母親が、わたしを見て、
「あんた、その浮浪者みたいな頭、明日にでも刈ってきなさいよ、もう・・・・」
と文句を言ってきた。
たぶん、加藤茶の五右衛門頭(この鬘を大百日鬘[だいびゃくにちかつら]というそうである)を見て、わたしの長すぎる髪を思い出したのであろう。
わたしは、かれこれ、4カ月ほど散髪に行っていなかった。
おもわず、
「ちいせぇ、ちいせぇ」と言おうかと思ったのだが・・・・・
やめておきました・・・・あとがこわい・・・・
おもしろふなれば別れや桃さくら(松岡青蘿)