ランドセルを背負って学校にかよっていた小学校2年生のとき、担任の先生が
「きみたちは、おとうさん、おかあさんのスネをかじっている『スネカジリ』なんだから、しっかり勉強しましょう。スネカジリの意味は、家にかえったら、おとうさん、おかあさんにきいてみてください。では、今日はここまで」
ということで授業が終わった。
気になって、夕食のあとに、父親にきいてみると、
大笑いしながら、「そうか。先生はそうおっしゃったか。ここをお前たちがかじってるんだよ」と、自分の足を指さして、あとは何も教えてくれなかった。
子供心に足など、かじっていないのに、ふしぎだなあと思っていた。
小学校高学年、中学生になると、その意味はわかってくるのではあるが、学生運動がさかんなころは、世間で、暴れまわる学生にたいして
「親のすねかじりが、勉強もしないで!!」といった使われ方を多く聞くようになった。
かんがえてみると、このスネカジリの使い方、
幼いころや未熟なころは、親が子を養育するという意味がつよく、悪いこととしての使いようではない。しかし、ほぼ一人前になる大学生あたりでは、じぶんで生活しようと思えばできるのに、親に、いつまでも頼りやがって、というニュアンスで使われることになる。
このことばの意味、社会性があるなぁ。父の日まえの思い出である。
父の日の改めてみる脛なりけり(高澤良一)